写真力の凄さに驚きを感じるー表現する楽しさで心身とも健康に
フランスのジョセフ・ニセフォール・ニエプスが、写真技術を発明したのが1825年である。今年で発明より193年がたち、白黒からカラーへそしてアナログからデジタルへと変容してきました。アナログフイルムは1本で最高36枚撮りですが、デジタルではそれこそ数千カットも撮影可能でカメラや記録媒体は大きく変化しました。
人の目で捉えにくい微量な光の中の被写体も撮れ、此の高性能のカメラをニエプスが見たら嘸かし仰天した事だろうと思います。また最近のスマートフォンカメラの写りも素晴らしく、従来のコンパクトデジタルカメラは、これらスマートフォンに主導権を完全に奪われてしまいました。SNS等インスタグラムの普及はシャッター数を一躍伸ばす動因となり、全世界的に数えると1日何十億カット以上の写真が撮られている事は間違いないだろうと察します。19世紀に写真術が誕生した頃は、人々が簡単に撮影が出来ないほど高価なものでしたが、今では、誰もが簡単に写すことができ、手軽に表現可能なメディアとなりました。
この様に、入門の敷居が高くない写真による作品表現は、多くのアマチュア写真愛好家を生み出して来ました。沖縄県でも約60以上の写真サークルやクラブなどが存在して居ると言われ、毎日、様々な所で展示会が開かれていると思われます。シニアを中心とした集まりも多く、仲間と共に上達しながら楽しんでいる姿を見るにつけ此方も楽しい気分になります。中には撮影であちこち歩くことで長年患っている持病が良くなった人もあると聞くと、写真の持つ力の凄さに驚きを感じます。撮った写真の作品化は、構図や露出を思考する事で脳を活性化させ、老化やボケ防止にも大いに効用があり、生きがいや意欲の向上に繋がると思います。近年、本県の写真界は、個人や各グループ等による作品展が開催され、県内外の公募展などへの入賞や高校生による写真甲子園での活躍等めざましい成果を上げております。
しかしながら、これら優れた作品が展示会のみで終了し、他の写真愛好家の眼に触れる事は中々ありません。この様な観点から、沖縄県写真協会では、前年9月から本年8月迄の過去一年間の公募展上位作品や各サークルからの推薦作品を一堂に集めた全琉秀作写真選抜展を開催します。
同展は、今年で29回目を迎え、多くの写真愛好家の勉強の場として位置づけられる様になりました。今年も多くのご来場をお待ちしております。
沖縄県写真協会会長 東 邦定